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自分の愚かさに気づけた者は既に愚かではない

 おはようございます、羽鳥です。

 ロート関係で書いたものを読み返そうとして、探すのが面倒くさい事に今気づきました。‥‥通し番号とか書いておけばよかった。

 でもって追記は、「師匠に報告」編。‥‥でも視点は師匠。
 血を吐く事は既に日常と化していた。
 ただでさえ白い顔がどんどん青白くなっていく。
 そんな自分の顔が見たくなくて、彼は、一応置いてあった鏡を、割った。

「何をヘタレてんだよ、クソ師匠」

 気がつけば、傍らに彼の唯一の弟子が立っていた。
 口が悪く、行動は粗暴で、しかし根は優しく憎めない。幼い頃から育て、彼の持つ知識を伝えてきた、まさしく彼の子供のような弟子。

「‥‥来るなと言ったはずだ」
「相変わらず可愛げねぇなぁ」

 言葉にした事は一度もないが、彼なりに可愛がってきたつもりだ。共に生活する者は互いしかおらず、口喧嘩は絶えなくとも黒焦げの食事に笑い声が響く事も多々あった。
 だがそれが仇になったのだろう。弟子は彼に依存してしまっていたようだった。
 『弟子』である限り、弟子を取り巻く環境は不変であると思い込んでいるのかもしれない。なまじ『師匠』の寿命が本来ならば長いものであるがゆえに。
 変わる事への恐れ。
 未来を紡ぐ事への不安。
 常に指針であった彼の病状の悪化と、弟子の人生の岐路とが重なって、その弟子は彼の元へ逃げてきた。
 そんな育て方をしてきたつもりはなかったのだ。
 そんな育て方をしてしまった自分を、彼は悔いた。
 ――最も愚かなのは私だ、と。

「ったく、わざわざコレを見せに来てやったってのに」

 言うなり弟子は、彼の前に左手を差し出した。
 薬指に燦然と輝く銀の指輪。
 彼は目を丸くした。
 その指輪は、先日彼が弟子を叱り飛ばして追い出した時には、確かになかったはず。

「俺、結婚すっから」
「なっ‥‥」

 あっけらかんと報告する弟子に、彼も珍しく二の句を告げる事ができない。

「あいつの都合で、式挙げんのはもうちょい先になるんだけどさ。今はイギリスに戻ってるし。そういや酒場で式挙げたいとか言ってるんだよなあ。まあ、ちゃんと教会でもやるんだろうけど」

 死んだ魚のような目をしていた弟子はどこにもいなくなっていた。
 今、彼の前にいるのは、明日は一体何が起こるだろうとわくわくして夜も眠れないような子供の目をした青年で。
 彼がずっと大事に育ててきた弟子だった。

「だからさ、師匠には元気になってもらわないと困るわけよ」
「‥‥どういう意味だ」
「抱きたくねぇの? 俺の子」

 俺に似たらどうなるかわかんねぇけど、あいつに似たらきっとすっげぇ可愛いぜ。
 何の気なしに惚気る弟子に、彼は無言のまま、拳を向けた。
 その拳が何を意味するか、幾度も経験している弟子は、瞬時に理解した。

「え、な、な、何だよ師匠っ!? ――あっ! 誤解してんだろ!? 違うからな、子供ができたから仕方なくとかんそんなんじゃねぇぞっ。結婚したくてするんだからなっ。でもって結婚すればそのうち子供もできるはずで‥‥っだから、魔法は勘弁っ!!」

 焦りから、面白いほど饒舌に言い訳を始める弟子に、彼は微笑みかけた。ただしそれは凄惨な笑み。弟子の記憶にある同じ笑みは、主にお仕置きの前に投げかけられたものばかりだ。
 ただ一言二言のみを呟いて、彼は拳を勢いよく開いた。
 巻き起こる暴風。吹き飛ぶ弟子。
 同じく吹き飛んだ家財道具を尻目に、彼はようやく、自分の体の治療を始める気になった。
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