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前期試験まであと少しだけ。

 書けた‥‥!書けたよ‥‥!!

 こんばんは、羽鳥です。

 何が書けたかというと、臨と精神鍛錬部の皆様、そして藤井先輩の、日常っぽいお話です。
 ネタが思い浮かんでから、脳内で練り練り練り練りして、これだけは絶対に書く!間に合わせる!!と心に決めて‥‥つい先程完成いたしましたっ!!

 追記に格納しておきますねー(いそいそ

 妙に長いのはご愛嬌!

 でもって。勝手ながら書かせていただいた皆様。口調や行動が違うんだけど、という点がございましたら、どうぞお気軽にお申し付けください。光の速さで修正させていただきますorz





 遠くで、金属バットが硬球とぶつかる音がした。あれはきっと野球部。ノックでもしているのか、同じような音が続けて聞こえてくる。
 クラブ棟の中を歩く一之瀬きさらにとって、それはある種の心地よさを与えてくれるものだった。放課後の証だからだ。
 そして種々の部室前を通り過ぎるたびに伝わってくる人の気配と幾ばくかのざわめきも、皆が活動に励んでいる証。学校で勉強以外に学べる、大切な事柄のひとつが、今まさに行われている。
 自分も行おうとしてやってきたわけだが、いつものように元気よくドアを開けた瞬間、固まった。
 一般的な教室のスタイルをとる室内にあって、別空間を形成している、角の畳スペース。辞書がぎっしり詰まった本棚で2辺を囲まれているが、すぐ横の窓から外の景色が望めるので、閉塞感はない。読書や物書きができるように、文机も置かれている。
 ――その文机に突っ伏して、篠森臨が眠っていた。
「ありゃー‥‥」
「どうしたの?」
「臨ちゃんがお昼寝中みたいだよ」
 知人と遭遇していたために少し遅れてやってきたセツナ・フォンティーユが顔を覗かせる。きさらが臨を遠巻きに指差し、声のトーンをやや落として解説すると、セツナは顎に手を当てて考えた。
「寝不足かな。あの体勢は力尽きて倒れた感じだし」
 臨はシャーペンを握り締めたまま、ひたいを机に押し付けるようにして眠っている。
「もうすぐ二次試験だしねえ。臨ちゃんの性格だと、限界まで根詰めてやってるのかも」
 日々、深夜まで勉強を続けているというのなら、その限界を突破してしまったということだろう。
 腕時計を確認すると、下校時刻まではまだだいぶある。これから他の部員も来るだろうし、もう少し寝かせてあげようと結論が出る。
「図書館にでも行こうか? きさらの勉強を見てあげるよ」
「おっ、それは嬉しいなあ。でもお手柔らかに頼むよっ」
「ははっ、まかせてよ」
 きさらとて二次試験が迫っていることに変わりはない。ただし彼女の場合は体力測定もあるので、勉強のやり方も臨とは異なる。
 恋人達は手をつなぎ、意気揚々と部室を後にした。



「なんでしょうか、このメモは」
 片崎澪の目に留まったのは、部室ドアに張られた一枚の紙切れだった。
『臨ちゃんがお休み中だからよろしく!』
 手にとって確認してみればそう書いてある。何をよろしくしろというのか。
 メモから顔を上げると、峰連要と都筑騰蛇が、細く開いたドアの隙間から室内を覗いている。そこに澪も加われば、すうすうと寝息を立てる部長が見えた。
「‥‥このメモ、一之瀬先輩の字だと思うのですが」
「ああ、じゃああの毛布をかけたのもそうかな」
 いったんドアから離れ、隙間を閉じる。
 臨の親友であるきさらが寝かせておいたのなら、自分達が無理に起こすのは気が引ける。だからといって放置するわけにも行かないのも確かだが。
 年長者である要と騰蛇は顔を見合わせた。
「えっと‥‥起こします?」
 アリーセ・エルンストが首を傾げて尋ねるが、騰蛇は「いえ」とそれに否を唱えた。要が携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけ始める。
「もしもし――うん、そう俺。今、部室の前なんだけど――」
「そうそう、皆さんは林檎はお好きですか?」
 親しげな口調での会話が終わるのを待つ間、騰蛇は持っていた紙袋の中身を皆に公開した。アリーセは赤く熟したいくつもの林檎に歓声を上げかけて、電話の妨げになってはと慌てて口を手で押さえる。
「もらい物なんですが、よければこれで甘いものでも作ろうかと思いまして」
「へびちゃんの作る林檎のお菓子、おいしいのよね」
 騰蛇の横で柔らかく微笑む黒桐さなえ。甘いものを好む彼女も、林檎の生まれ変わった姿を既に想像しているのかもしれない。
「今から来るって」
 携帯をしまいながら要が言った。
「わかりました。では皆さん、調理室に移動しましょう」
「篠森部長をあのままにしていくんですか?」
「毛布をかけているっていっても、風邪ひいちゃいますよ」
 がさがさと紙袋を持ち直す騰蛇を澪が呼び止める。言葉を続けたアリーセも、ドアの向こうへ何度も視線を向けている。
 要と騰蛇がまた顔を見合わせる。数瞬後、澪とアリーセに向き直った彼らは、くすりと笑った。
「大丈夫だよ。臨が一番来てほしい人が来るから」
 あ、と声が漏れる。なるほど、と頷く。
 確かにそれなら何の心配もいらないはずだ。一同は揃って、廊下を歩き始める。



 ぽかぽか陽気はストーブのおかげ。窓から注ぐ日の光は既に夕焼けの色を帯びていたが、しかしそれはいまだ夢の中に漂う者には微塵も効果がなかった。
 規則正しく上下する肩。胸。薄く開いた唇。誰がどう見ても、熟睡している。
「臨」
 高い位置から声がかかる。心地よさに阻まれて、眠る臨の耳には届かない。
「臨」
 声の主が膝を折る。声はだいぶ近くなったが、それでも寝息がやや乱れたのみで終わる。あとは眉根が少々寄せられたくらいか。夏場、蚊にまとわりつかれるとこんな表情になりそうだ。
 ストーブの稼動音が室内を埋める。バットの音が聞こえなくなっているのは、もう片づけを始めているのだろう。
 声の主は臨の後方に回った。足の間に臨を挟むようにして座る。手を伸ばし、臨の肩を掴んで起こし、自分に胸にもたれさせる。――それでも起きないのだからたいしたものだ。
「‥‥臨」
「‥‥‥‥‥‥ん‥‥」
 今度は耳元で名を呼ぶと、わずかに身じろいだ。まぶたがぴくぴくしているが、まだ完全覚醒には至っていない。
 ではこれならばどうだとばかりに、声の主が次にとった行動は。抱きとめる角度を変えて。臨のあごを軽く持って上向かせて。何かを呟くようにむにむにゅ動く唇に、自身の唇を落とすことだった。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥んぅっ!?」
 やや間があって。臨の両目が大きく見開かれた。反射的にとにかく離れようとするものの、彼女を捕らえる腕のほうが力は強く、揺るがない。自然、口づけはそのまま続けられる。
 ようやく開放された頃には、眠気とは異なる意味で、臨の表情はとろりとしていた。
「‥‥うぅ‥‥普通に起こしてくださいよ、先輩ぃ‥‥」
「お前が呼んでも起きないからだろう」
 せめてもの反抗で唇を尖らせて睨みつければ、いつものように全く変わらない顔つきで、藤井友亮が見下ろしていた。
「あとは、‥‥そうだな。俺だって我慢していたということだ」
「え」
「立て。帰るぞ」
 続きを聞きたがる臨をよそに、友亮はさっさと立ち、脱いでいた靴を履く。ストーブに歩み寄って電源を落とすその後姿を見つめていると、昼間に交わしたメールのことを思い出した。
「先輩、今日は来ないって言ってませんでした?」
「言っていたな」
「なんでいるんですか」
「峰連に呼ばれた」
 臨があわただしくコートを羽織る合間に、友亮は文机の上の勉強道具を勝手に片付けてしまう。
「お前が部室で寝ている、とな。寝顔が見たくなったから来た」
 ローファーのつま先を数回床にぶつけて足を完全に収めるのを見届けてから、辞書で重い、かつ膨らんだ鞄を差し出す。臨は、まだ熱がおさまらずに赤い頬のままで、それを受け取った。
「‥‥もしかして、起こす前に眺めてました?」
「愚問だな」
 つまりは肯定。
 別に初めて見られたわけでもないのに、やたらと恥ずかしいのはなぜなのか。
「睡眠時間はきちんととれ。試験会場で居眠りしては本末転倒だろう」
「わかってはいるんですけど‥‥なかなか落ち着いて寝られなくて」
「寝付くまで傍にいてやろうか」
「えええええっ!?」
「冗談だ」
 表情も声のトーンもほとんど変化がないというのに、どこで冗談と本気の判断をつければよいのだろう。ちょっと喜んだ自分か悔しくて、臨は友亮の袖口をつかんだ。
「どうした」
「‥‥もう一回、お願いします」
 何を、とは言わない。そういったことくらいなら伝えずとも理解し合えるくらいには月日を重ねてきた。
 せっかく手に持ったはずの鞄を、床に落とす。やけに重量感ある効果音が響いたが、そんなものはとっくの昔に気にならなくなっていた。
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この都筑さん凄く甘党なり……。
私は甘いものなんて(以下略)
篠森さんと藤井さんの甘々っぷりを拝見させて頂きまして嬉しく思います。
執筆お疲れ様でございました。

この藤井さん凄くアグレッシブなり……。
自分が書くと斜め上にアグレッシブですから新鮮。

しかし甘々ですね甘々いいぞもっとやれ。
負けじとこちらも書きますよ!……ち、近いうちに!!
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