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お話

 本当に少しずつ書いていて、しかもなんだか先が長くなりそうです‥‥。私の悪い書き癖ですね。改善したいです。

 というわけで、キリのいいところで小分けにして公開していきたいと思います。

 ツッコミは‥‥えぇと、あまりほしくな(殴

 何はともあれ、感想をお待ちしておりますー。

 ***

 上を見上げれば輝く太陽。それでも暑いと感じないのは、時折風が吹いてくるから。ちょうどいい――そう、ちょうどいい天気だ。ピクニックへと出かけるには。
 ライカ・カザミの足取りは軽く、少し気を許しただけで鼻歌が始まる。手に持ったバスケットには、朝早く起きて腕によりをかけた、ふたり分にしては多いくらいの弁当が詰まっている。他にもお茶を入れた水筒が入っていたりするのだが、それでも重いとは感じない。気の持ちようとはよく言ったものだ。
「ふふ、ロート君、喜んでくれるかしら」
 駆け出すと、スカートの裾が風をはらんで膨らみ、揺れる。
 ライカが楽しそうで嬉しそうな理由は、彼女の恋人ロート・クロニクルと、これから出かけることになっているからだ。
 ロートが研究に没頭していたり、長期の依頼に出かけていたりとしていたせいで、最近はなかなかふたりでゆっくりできる暇がなかった。ライカも同じ依頼に参加してはいたものの、やはり好奇心が先立つらしく、彼女の姿が目に入っていない事すらあった。短い逢瀬も盛り上がるものだけれど、どうせならゆったりとぬくもりを感じていたい。
 なんて考えるのは、はしたないことだろうか?

「悪ぃ、ライカ! ちょっとそこで待っててくれ!! こいつを話相手に置いとくからっ」
 恋する乙女の夢見る時間は、当の恋人本人によってすっぱりと、いっそ気持ちがいいくらいに遮断された。
「え、ちょっ‥‥ロート君!?」
「ほんっと悪ぃ、あと少しで終わるんだ!! ――クィディ!! この前まとめた資料探してくれ!」
 勢いよく扉は閉められ、ロートの姿はあっという間に見えなくなる。ライカは思わず伸ばした手をそのままに、身体を凍りつかせてしまった。
 冒険者街バシリスク通りの10番。ロートが借り受けて、棲家兼資料庫としている借家だ。約束の時間より早めに迎えに来たとはいえ、ライカは説明もないままに閉め出しをくらったのだ。たいした挨拶も交わせず、中に入れてももらえず、ただ待っていろ、と。
 代わりに、ロートが話相手と称して置いていったシフールの子供が、彼女の目の高さに羽ばたきながら浮かんでいる。
「おはよー、ライカおねーさん♪」
「‥‥‥‥‥‥」
「おねーさん?」
「あ、ああ‥‥ごめんなさい、つい呆然と‥‥。おはようだわね、ルディ君」
 気を取り直してルディに笑顔を向けたライカを、人はけなげだと思うことだろう。
 ほぅ、と息を吐いたライカを見て、ルディは眉毛を器用に曲げた。
「ごめんねー、おねーさんー。今ねー、ロートおにーちゃんは修羅場なのー」
「修羅場?」
「そう、修羅場ー。なんかねー、師匠さんに今月分の調査報告書を送らなくちゃいけなくってー、締め切りに間に合うようにするためにはー、今日中にシフール便に出さないと間に合わないんだってー」
 間延びした口調。こういった説明はどうやら苦手のようだが、ライカの気持ちを慮り、頑張ってくれているのだろう。
「少し前にねー、締め切り過ぎてから送ったことがあったんだけどー‥‥‥‥返ってきたお返事が怖くて怖くて、おいらしばらくひとりじゃ眠れなかったよー‥‥」
 喋っているうちに当時のことを思い出したらしく、ルディはがたがた震え始める。一体どんな返事が来たというのか。
 そんなルディの頭を撫でてなだめながら、ライカが見つめるのは扉の向こうで必死に報告書を作成しているはずの、ロートの姿。ルディの兄であるクィディのサポートを受けながら、どうにかして締め切りに間に合わせようと尽力しているはずだ。
「‥‥もっと早く終わらせておけなかったのかしら」
 こんな言葉もつい口を出る。ため息も漏れる。
「ほんとにねー」
 ライカの真似をして、ルディもため息を漏らす。
 そして唐突に。
『いよっしゃあああああ!! 終わったああああああっ!!!』
 棲家の建物自体が震えるほどの雄叫びが響き渡る。
 呆気にとられたライカとルディが、成すすべもなく佇んでいると、次は走って近付いてくる足音が聞こえた。そのまま待っていたら今度は、扉の向こうに消えた時と同じように勢いよく、ロートが姿を現した。
「ルディ! これをシフール便に頼んできてくれ!」
「はーい♪」
 細い革紐で丸められた、幾枚もの羊皮紙。渡されたルディは素直に受け取り、一度大きく羽ばたいたかと思うと、そのままパタパタと飛び去った。
 それを見送ってから、ロートが改めてライカに向き直る。
「待たせたな。さっ、行こうぜ」
 歯を見せて笑うロートに、ライカもつい、頬を緩ませる。
「あ、それ弁当か? 重いだろ、俺が持つよ」
 有無を言わせず、奪われていくバスケット。
 ごくごく自然に差し出される、もう片方の手。
 その手に自らの手を重ねて。
 ふたりは足並みをそろえ、本日の目的地へと歩き始めた。

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非公開コメント

>きさとさん
そうです、いつもこんな感じなのです(笑
ちなみにクィディは嫌味を言いながら手伝ってます。

ライカさんは部屋に入れませんよー。
あんなぐっちゃぐっちゃのごっちゃごっちゃの部屋に、何が悲しくて恋人を入れるものですか(ぇぇ

変態の資料もありますし、まともな調査の資料もあります。
最近は貴重な遺跡の調査にも参加したことですし、書くことがいっぱいあったでしょうね。

続きは気長にお待ちくださいです(汗

>Sさん
‥‥某所?(汗
どこでしょう‥‥(悩
一瞬、酒場かとも思ったのですが、
完全部外者ということはAFO関係の人ではないということでしょうか。
すみません、ヒントを‥‥ヒントを切に願います‥‥

お弁当の中身は決めあぐねている真っ最中です‥‥orz

‥‥あれ?
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥まさか‥‥‥‥‥‥‥‥
絵師さん!?(どーん(←効果音

今晩は! お解り頂けるか微妙なところですが;
いつも某所でお世話になっているSです。

コソリと覗いてみたら、素敵な文章があってウハウハしてました…!!
完全部外者なわたくしですが、陰から応援しています(笑)。
ロート君格好良いですね…!
ライカさんのお弁当の中身も非常に気になりますvv

それでは、突然のレス失礼致しました!
続き楽しみにしております^^

お話有難うございます!とても楽しませて頂きました!結構ほのぼのしてて、ロートさんが普段こんな感じなんだろうなあっていうのが良くわかりました(笑)

話相手にシフールさん1人置いていくというのを見て、終わるまでこれで遊んでてくれ、と玩具を渡す大人のように感じましたが(何)

ライカなら、しょうがないわねーとか言いながら、結局は待ってるでしょうね。ついでに、そのへんの片付けしそうな感じです。もしくは、のんびりとお菓子食べながらお話しているとか。レイジュならイタズラしそうですけどね(マテ)

ちなみに、ロートさんが作っている資料って、やっぱり変態の調査なんでしょうかね(ぇ)

それでは、続きを楽しみにしておりますよ!
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